おやすみ世界

すぐ忘れるアラサー備忘録。忘れないように、こんな事あったなぁと思い出した事をつらつらと書いております。

心霊スポットに行った話。

夏といえば怪談。怪談といえば夏。


私は幽霊も宇宙人も信じているし、どちらもめっちゃ怖い。絶対に居る!ここには霊が!宇宙人が!という事ではなく、単純にヤバい場所にはヤバいモノが居るだろう。という考えである。


ついでに言えば妖精には居て欲しいし、妖怪にはロマンを感じる。

うちのトイレは気付けば髪の毛が結構な量で落ちて居るんだけど、妖怪の仕業としか考えられない。何でトイレで髪の毛抜けるんだろ。妖怪でしょ?妖怪しかなくない?


書いてて思ったけどこれ私の髪の毛じゃなくて女の人の幽霊がいるシグナルだったらどうしよう。めっちゃ怖い。

そうなると私は自分の髪じゃない毛をいつも無心でコロコロしてたって事?何で私が他人の髪の毛コロコロせないかんのだ!!


まぁそれは良いんだけど、実家に居た頃は怪談好きの父とよくTVの心霊特集を観ていた。

父はTVを観るたびに、心霊スポットなんて遊びで行ったら絶対ダメだよ。と言っていた。勿論私はそんな怖い所に自ら行くつもりはさらさら無いし、遊びで行って祟られてもそれはその人間の方が悪いだろうと思っていた。触らぬ神に祟りなし、だ。


そんなビビりな人間なので、一人暮らしを始めてからは一切そういった番組を観なくなった。

観ないようにしてる事は父にも伝えているのに、未だに怖い番組があると「今日は○時に、戦慄!本当にあった○○!あなたは今日本当の恐怖を目の当たりにする!があります。観るように。」とメールが来る。

「観ません。」と毎回返すのに絶対告知してくる。父は確実にパケ代を無駄にしている。


そんなビビりな私が大学1年生の夏を迎えた頃。

一人暮らしにも慣れてきて友達も出来て大学生最強と思っていたどうしようもない時期に、近所に住んでいるサークルのA先輩から電話がかかってきた。確か夜20時頃。


「今からカブトムシを捕りに行こう」


オッケー全然行きたくない。幽霊めっちゃ怖いとか言ってるけど私はこの世で1番虫が怖い。足が4本以上あるとかマジ無理。見た目も無理。飛ぶな。


よくよく聞くと、先輩A♂B♂C♀の3人で遊んでいて、これからカブトムシを捕りに行こうという話になった、という事だった。

よくよく聞いても何故大学生が唐突にカブトムシを捕りに行こうという結論に至るのかが理解出来なかった。わかんなくない?


でもその先輩達はいつもよく遊んでくれるし、仲も良かったので、単純に夜みんなで遊びに出るとか大学生っぽい!★という理由で行く事にした。

というかその電話はうちの家の前からかけていたので選択肢は「行く」しかなかった。


家の下に止まっていたC先輩の車に乗り込んで、まずはコンビニに向かった。

夜暗いと見えないから、と先輩達は懐中電灯をカゴに入れた。察しが良い人はこの辺で気付くんだろうけど、私は「虫カゴ売ってないよ!?ビニール袋でいいかな!?」と真剣にカブトムシと向き合っていた。


A先輩の「俺が素手で持って帰るから大丈夫。」という言葉を鵜呑みにし、カゴに入っていたお線香については「カブトムシは線香の匂いに寄ってくる」という言葉に納得した。納得するなよ私…


ともあれ車内にケツメイシ流しちゃったりして、盛り上がる車内。何故か私がカブトムシについて触れると全てスルーされた。


しばらくして車が止まった。

ん??????なんだここ????

私はようやくカブトムシを捕りに来たんじゃないかも。と思った。遅ぇ〜〜〜


先輩達は私が心霊スポットには絶対行かないという事を知っていたので嘘をついて連れて来たのだ。

カブトムシ捕りに行くよって言えば来ると思われてる私って一体…


私は激しく後悔していた。

お父さんごめんなさい…!!娘はお父さんとの約束を破ってしまいました…!!


後々聞くとそこは有名な心霊スポットらしい。

夏の有名な心霊スポット。そこには私達みたいなグループが4〜5組居て、わいわいキャーキャーしていたので全然風情は無かった。


前のグループの少し後を付いて行く、というお化け屋敷の中みたいな状態だったが、ここが1番ヤバいというスポットまで歩いた。


ちなみにそこに着くまで私は騙されて心霊スポットに連れて来られた怨み辛みを半泣きでぐちぐちと先輩達にぶつけていたが、笑顔でスルーされた。スルースキルすごい。


そのヤバい場所にはフェンスが貼られていたが、どこぞのバチ当たりが余裕でぶち破っており、中に入れる状態だった。

流石にここは入っちゃダメでしょ!幽霊うんぬんより、入っちゃダメだからフェンス貼ってあるんだよ!!人としてダメでしょ!!


そんな訴えを無視し先輩A.Bはスタスタとフェンスに近付いた。

ダメだ!!ここに入ったら絶対先輩達が祟られてしまう!!そんなの嫌だ!!

私は咄嗟に追いかけ2人の腕を掴んで「お願いだからもうやめて!!」と懇願した。


ちなみにこの時私はフェンスに近付きたくなくてめちゃくちゃ腰が引けていた。

突然の大きな声に周りの人達も振り返るし、めちゃくちゃ腰引けてる私がいるし、多分その状況が恥ずかしくて先輩達はとりあえずフェンスから離れてくれた。


私が「もう大学生なんて嫌だ、実家に帰りたい」と言い出したので、これ以上はやめようと車に戻る事になった。どんだけ嫌だったんだよ。


帰りの車内、テンションだだ下がりの私とは裏腹に、先輩達はわいわい盛り上がっていたのでだんだん腹がたってきた。

てかマジビビりすぎwwwと笑われた所で私はたまらず言い放った。


「いや、別にいいけどさ、A先輩の右肩に女の人付いてるからね。」


車内がシーンとなり、先輩達に、「え…マジ??視えるの?」と神妙な顔で聞かれた。

「うん。視えるよ。だから私心霊スポットとか行かないようにしてるんだよ。」と適当に答えた。


騙された上にビビってた事をイジられて私はもう怒っちゃったのである。

さっきまで先輩達が祟られちゃう!!と腰が引けてまで止めに行ったあの純粋な私はどこにも居ない。怒っちゃってるから。

ただ適当な嘘をついてショボい仕返しをしている私しか居ない。


そこでA先輩がポツリと呟いた。

「やっぱり…?俺、あのフェンスに近付いた時女の人の囁く声が耳元で聞こえたんだよね…」


ダウト〜〜〜!!!!!もしくは気のせい〜〜!!!


A先輩は次の日になっても、右耳が何かおかしい、時々女の人の声が聞こえる。など言っていた。100%気のせいである。

彼はその話を何年も周りに語り続けていたので、私全然霊感ないよッ★って事は伝えないままにしておいた。

(A先輩、今は立派なお父さんになってます)


心霊スポットに行ったのはこれが最初で最後。もしかしたらA先輩には本当に声が聞こえたのかもしれないけど、多分聞こえてない。


因みにコンビニで謎に買った線香は、サークルのビンゴ大会の景品として使われていた。マジいらない。