おやすみ世界

すぐ忘れるアラサー備忘録。忘れないように、こんな事あったなぁと思い出した事をつらつらと書いております。

後輩の話2。

夏は急遽実家に帰る事になったりと、色々バタバタとしてしまいやっと落ち着いた…


またちょこちょこ更新できたらいいな。


さて、前にも書いた初めての後輩森くん。

絶対ダメな方向のメンタルの強さを持ち、仕事を覚える姿勢を気持ち良いくらい見せなかった彼。

彼が今どこで何をしているのか全く分からないが、まぁ頑張ってると思う。(適当)


そんな森くんが私の送別会に来てくれた時の話。


どんなに時が流れても森くんの返事は相変わらず「うっす。」だったが、クールビューティーな秋山さんに対しては「はい。」と答えていた。

やればできんじゃん。なんで私には「うっす。」なんだよ。


ともあれ私が辞めるに当たり、営業エリアの後任として中途採用で菊池さん♂が入社した。


菊池さんは当時30代後半でそれはもうめちゃくちゃ良い人だった。

毎日引き継ぎのために営業同行していた事もあり、私は菊池さんの人柄がすぐ好きになった。


当時まだ2年目だったぺーぺーな私にもいつも敬語で、なんなら新卒達にも「自分の方が後輩なので!」と敬語、低姿勢を貫いていた。


優しい笑顔と雰囲気で取引先にも営業部の皆にもすぐに打ち解けた素晴らしい人である。


私はそんな素晴らしい人を見るとその人の素の部分を見たくなる。


なので休憩中お昼ご飯を食べている時はいつも菊池さんを質問攻めにしていた。

ご飯中にごめんだったね菊池さん…


菊池さんは一回りほど離れた奥様がおり、お子さんも2人居るらしい。

「ご家族がある中で転職って勇気要りませんでした?」と聞くと


「前の会社がブラック過ぎたんですよね〜!」と笑顔の菊池さん。


因みに私が居た会社も中々のブラックだったが、菊池さんの前職場は1日の営業目標が達成されないと「なんで帰って来たの?飛び降りなよ。」と窓を開けて真顔で言われる所だったらしい。


さすがにそれはヤバい。日本怖い。


後日うちの会社が真っ黒さを出して営業部がヒーヒー言ってる時、菊池さんに「転職した先がこんなんでごめんなさい…辞めないで下さい…」と謝ると

「窓から飛び降りろと言われないので大丈夫です!」とスーパー笑顔で返された。

菊池さん…!!!


他にも色々話を聞いたが、前職ではストレスによりコーヒーと煙草が手放せ無かったとの事。

ある日どうにもお腹が痛いので病院に行くと、胃に穴が開く寸前だったらしい。


医者に「ストレスは勿論、コーヒーと煙草辞めますか?人間辞めますか?」と危ない薬に手を出した患者レベルで忠告された菊池さん。


「どっち辞めたんですか?」と聞くと

「人間辞めました。」とまたスーパー笑顔で返された。ガンガン煙草吸いながら。


森くんの話のはずが菊池さんの話ばっかりになったけどほんわかするわ〜〜

森くんの話したくね〜〜


そして迎える私の出勤最終日。

あれだけ嫌だった会社も離れるとなるとやはり寂しさがある。有難い事に営業部の皆に送別会まで開いてもらった。


菊池さんが「ちょっと遅れるかもしれませんが、送別会参加させて下さい!」と言ってくれた時は嬉しかったなぁ。

ほんの数ヶ月しか仕事をしていない私のためにありがとう菊池さん。


森くん「俺も行きますから!感謝して下さいよ!笑」


まじか。いや、ありがとう。ありがとうだけどさ。一気に感謝したくなくなった。あと上司も来るしお願いだから変な事しないでね。ね、頼むよほんと。


送別会が始まり居酒屋でわいわいと過ごし、プレゼントや寄せ書きまで頂いて、この会社に居たことも決して無駄では無かった。と私は本心で思っていた。


ちょっとしんみりセンチメンタルになっていたが

大学生のようにお酒をイッキし、先輩達に「全然飲んでないじゃないっすか〜!ハイ、ここまでイッキ!」と騒ぐ森くんが横目に入り何かもうどうでもよくなった。


では解散!となりそれぞれにお礼と別れを告げ駅に向かった。

帰りの方面の関係で、私と森くんと菊池さんが同じホームに立った。


私が乗る電車がやって来るアナウンスが流れる

その時森くんが「あ!そうだ!これ俺と菊池さんからの送別品です!」と言い、紙袋を渡してきた。


え!!!森くん!!!そんな気遣いが出来る子に…!!いつの間にか成長を…!!!


紙袋はとあるブランドのお化粧品の物だった。

電車が止まりドアが開いたので、2人に何度もお礼を言いながら電車に乗った。


私「森くん、菊池さん、本当にありが…


森くん「あ、でもそれ菊池さんまだお金払ってないっすから!買ったのも俺だから実質俺からですからね!」


言うな!!!!!!だとしても今このタイミングでそれを言うな!!!!!!


菊池さんは申し訳なさそうに、ごめんなさい!と言っていたが、私は絶対最後にいらん気を使わせたくなかったので

ドアが閉まりますのアナウンスに負けないよう「菊池さんありがとう!森くん!そういう所直しなさい!!」と叫んだ。


叫んだが、森くん!の辺りでドアが閉まったので彼には届いていないだろう。


最後の最後にやってくれる、それが森くんなのだと思い知った。


勿論森くんの送別品を買おうと思ってくれた気持ちはとても嬉しかった。

まぁその送別品を買う提案も菊池さんからだったそうだけど…いやそりゃそうだよね。なんとなく分かってたよ。


何故感謝のまま終わらせてくれなかったのだろうと思うが、それもまた森くんなのである…


因みに私はこの出来事を仲の良い先輩2人(前の日記にも出た秋山さん♀と中村さん♂)に速攻電話でチクった。


中村さんは笑っていたが秋山さんは笑っていなかったので、翌日の森くんの安否が少し気になった。



きっと森くんは今もどこかで元気にやっているのだろう。(適当)

事故物件に住んだ友人の話。

これは事故物件に住んだ友人の話。


類は友を呼ぶ、と言うのだろうか。

私の大学時代の友人、遥♀は少しベクトルの違う方向にポジティブシンキングな人間だ。


ポジティブに生きてるとラッキーな事がわさわさと舞い込んで来そうだが、遥に至ってはアンラッキーが頻繁に舞い込んで来る。


彼女はブランド物のサングラスを買った際、嬉しくてそのサングラスをかけたままソファーに横になり寝落ちした。目が覚めるとサヤが根元から折れていたらしい。

しかし彼女は「マドラー欲しかったんだよね!オシャレじゃない?」と眼鏡のサヤをマドラーにしようとしていた。ほんと好き。


そんな遥が引越した。

彼女は一人暮らしで、仕事で昇級したのを機にオシャレなデザイナーズマンションに引越した。

引越し祝いを名目に、同じ大学時代の友人である藤原♂と遥の新居に集まる事になった。


日程も決まり何時に集まるかLINEグループで話し合っていた時、遥が妙な事を言い出した。

「あ、うち変なの居るかもだけど気にしないでね!気にしなかったら大丈夫だから!」


本当に妙な事言うね〜〜〜。めっちゃ気になるし俄然行きたくなくなった〜〜〜。


心霊スポットNGな私は、絶対おばけでしょ。変なのと言えばおばけでしょ。と思ったが、いや虫かも。少し天然な遥の事だから虫を変なのと例えてるのかもしれない。だとしたら尚更行きたくない。

この世で1番怖いものは虫だ。誰が何と言おうと虫なのだ。


私は色々と推理をし返信に困っていた。


藤原「変なのって何?幽霊って事?」

バチクソ確信を突いてきた。いいぞ。


遥「そうそう!よく分かんないんだけど事故物件なんだよね!でも大丈夫だよ!」


何が大丈夫なの????よく分からない上に事故物件だけど大丈夫なの??マジで??てか今よりいい家に住もうと引越したのが事故物件ってどういう事??


藤原「まじかwww楽しみしてるわ!とりあえず15時に〇〇駅改札前集合でいい?」


藤原よ、楽しみにするな。草生やしてこの話終わりにするな。話を進めるな。


速攻遥に電話をして本気で行きたくない事を伝えたが、「本当に何もないから大丈夫だって〜!住んでる私が言うんだから!」となだめられた。ポリポリ音がしたので絶対遥はプリッツ食べながらなだめていた。


泣きそうになったが、久々に集まる3人だし、遥の家を心霊スポット呼ばわりするのもいかがなものかと思い渋々行く方向に気持ちを持っていく他無かった。


当日、駅で合流した私達3人は近くのスーパーでお酒やおつまみを買い込み遥の家に到着した。


道中で事故物件の詳細について聞いたが「何か自殺したらしい。家賃は他の部屋より格安。」というふんわりした情報しか得られなかった。

普通自分が住んでる所が事故物件だったらもうちょっと調べない??気にしなさ凄くない??


部屋に入ると思った以上のデザイナーズ感。お洒落なこの部屋が事故物件とは到底思えない。しかしビビらずには居られない。


私はお酒の入ったビニール袋を置く時の「ドンッ」という音にビクゥゥッッ!!!となっていた。


2人に笑われながらひとまず新居祝いという名の家飲みが始まった。

お酒が入ると恐怖もそこそこ薄れてきて、互いの近況や思い出話で盛り上がっていた。


私はトイレに行きたくなり、遥にトイレ貸して〜と声をかけ立ち上がった。


遥「あ、トイレ、大丈夫だから気にしないでね!」


ねぇもうやめて〜〜〜大丈夫と気にしないでってワードもう禁止〜〜ちょっと忘れかけてたのにやめて〜〜


そんな事を言われたら何も大丈夫じゃないので無理矢理遥をトイレに付き添わせドアの前で待っててもらった。


ドア越しに遥が「大丈夫って言ってるのに〜!」と言うので、「じゃあ何で気にしないでって言ったのー?!」と聞くと


遥「いや、何かトイレしてると時々タンクの中からガタガタ音がするんだよね!」


私は高速でトイレットペーパーを巻き取り一切の音が聞こえないよう「あー!!あー!!!!」と叫びながら速攻で水を流して飛び出した。


音だけだから大丈夫だってwwと笑う遥に、おバカッ!!と半泣きで怒る私はチャック開けっぱなしだった。


そっとチャックを閉める事で少し冷静になった私は遥とリビングに戻り、事の次第を藤原に話した。


藤原は「え、何か他にも不思議な話無いの?」と笑っていた。


んー、何でこの2人は笑ってるのかしら?怖いと言う概念は皆無かな??私は何でこの2人と仲が良いの??その不思議について話合わない??


これは完全に怖い話の流れになると思い、好きな第三のビールについて話し合おうと提案したが却下された。ちなみに私は金麦が好きです。


ここで断っておきたいのだが、私は怖い話自体は好きだ。近々怪談イベントにも行く。めっちゃ楽しみ。

ただ、今自分が居るこの場所についての怪談話は別だ。自分とは無関係の怪談だからヒューこわ〜い!と聞けるものなのだ。


遥「んー…いつも寝落ちしそうになると足の裏に息吹きかけられるんだよね。」


始まった〜〜〜今自分が居るこの場所についての怪談話始まった〜〜〜家帰って関ジャニクロニクル観たい〜〜〜


藤原は、それは幽霊じゃなく妖怪じゃないのかと笑っている。いや確かにそんな妖怪いそうだけどさ。


よくよく聞くと、TVが勝手に消える、玄関からラップ音がする、お風呂に入っていると設定温度が変わる、顔を洗っていると肩を叩かれる事があるetc…

出るわ出るわ。よう出るわ。この子よ〜出しますわ。

てかさ、遥気にしなければ大丈夫って言って無かった??ハイパーレベル高くない??それ絶対気にしない方が無理じゃない??


さすがの藤原もビビってるだろうと思ったが、「霊が居る場所で手を叩くと音が響く」と、チンパンジーのオモチャのようにパンパン両手を鳴らしていた。

しまいにはノッてきて「いよぉ〜〜!(パンッ!)」と合いの手まで入れていた。お隣さんに迷惑です。やめなさい。

そんな藤原を見て遥はケラケラ笑っていた。

よし、解散。


遥は「泊まっていけばいいのにー!」と言ってくれたが、足の裏に息を吹きかけられたくないとハッキリお断りして帰宅した。


遥は今でもその事故物件に住んでいる。

そして変わらず「気にしてないから全然大丈夫だよー!」と笑っている。


ポジティブに生きるとは、図らずとも強く生きていけるのである。

初めての後輩の話。

これは私が出会った会社の後輩の話。


私は大学を卒業し、とある会社に営業として入社した。

1年が経つと自動的にまた新卒の後輩たちが入社してくる。


その会社は支社も全国展開している大きな所で、職種柄体育会系な雰囲気であったが、私の営業部は女性が多い事もあり、いわゆる「女の園」であった。


あの人とこの人がほんとはバチバチで、あの部署のあの人とこの人とその人があんなんだからそんなんで、というようなちょっと皆一旦落ち着いてお願いだから意味がわからない。というような感じだった。


しかしそこはみんな大人でなんだかんだ表面上は上手くやっていたし、私自身苦手な人は居たが、個人的に話すとそれなりにいい人達で不思議と皆と上手くやっていけていた。

というかこいつはただのポジティブバカだから害が無いと何の警戒もされていなかったんだと思う。ぐうの音も出ない。


(ちなみにこの会社は中々のブラックだったので人の入れ替わりが激しかった。)


内定が決まると現場や営業、事務所に研修に来るシステムがあるので、今年の新入社員の顔は何となく把握していた。


そして入社日、うちの支社に所属する新入社員達が一列に並び、朝礼で自己紹介をする。


ん???誰??何か知らん子おるぞ。

明らかに年上っぽい男の子。たまたま私が休みの時に研修に来てたのかな…?


その子は森という名前でうちの営業部に所属するらしい。中途採用や部署異動で男の人が来ることはあったが、新卒で男の子が採用されるのは珍しく、ちょっとザワザワしていた。


私は隣に居た仲の良い先輩、秋山さん♀に「あの森君って子、研修に来てました…?私見た事ないんですけど…」と聞いた。

秋山さん「全然知らない。てか私全員顔覚えてないから誰も分からない。」


好きだわ〜〜秋山さんのそのクールな所めちゃくちゃ好きだわ〜〜


ちなみにこの秋山さんはうちの営業部のトップセールスウーマンで、美人でクールだが実は面倒見が良く大好きで慕っていた。


そこに大先輩のおじ様中村さん♂が会話に入って来た。

「ねぇ、あの男の子さ、現場志望で入って来たんだけどどうにもこうにも使えなくて、最終的に女の人が多い所なら周りがなんとかサポートしてくれるだろう、ってうちに配属されたらしいよ。」


中村さん、この人は誰よりも勤務年数が長くほぼ全ての部署を経験しており、役職について上司になっていても全然おかしくないのだが、とある理由で責任問題を問われ昇格の道を閉ざされた人だ。その問題も中村さんは悪くないんだけどね…

しかしその事もあって、周りの人間(特に上層部)からはナメられており、事あるごとに標的にされていた。


中村さんはめちゃくちゃ優しく楽しい人で、私は秋山さんと中村さんが大好きだった。秋山さんと中村さんと私、この3人はよくつるんで仕事を越えても仲が良かった。


朝礼中に3人でヒソヒソやっていたので、主任にやかましいと叱られ私はしゅんとした。

秋山さんと中村さんはまだヒソヒソやっていた。すごい。


ともあれ仕事が始まり、新入社員は先輩の営業に同行しイロハを学ぶ。

私は基本的にお昼にオススメの美味しいご飯屋さんを教えていた。


聞いた所、森君は私より3つ年上で、今まで社会人経験は無く、スーツを着たくないという理由で現場(現場は作業着)の面接を受けたが中村さんの話の通り仕事が出来なさすぎてとりあえずうちの部署に回されたそうだ。

スーツ着る仕事だけど大丈夫???


その話題の男の子森君が私の同行に着くことは無く、深い会話もしていないのでしばらくしてもどんな子かよく分からないままだった。


しかし森君が同行に着いた先輩達は「ありゃダメだ。営業向いてないよ。」と口を揃えて言っていた。

確かにPC作業は教えても教えても覚えないし、メモ取らないし、やめなさいと言っても「うっす」と返事をする子なのでいつか大失敗しないかとヒヤヒヤする事はあった。


そんな森君は私の3年先輩の田村さん♀の営業によく同行していた。田村さんは仕事は出来るが少しクセのある人で男の子には超絶優しい人だった。ちなみに女の子にはめちゃ厳しい。


1ヶ月程経った頃、営業から田村さんと森君が帰って来た。

「疲れた〜!田村さんジュースジャンケンしようよ!」

おおおおーーう???どうした森〜〜!!!タメ口か??それはタメ口というものか???


田村さんがブチギレないかビビったが

「じゃあ3回先に勝った方が勝ちね!」と笑顔だった。なんでだよ。怒れよ。3回もジャンケンするんじゃないよ。


年齢でいうと田村さんと森君は同い年だが会社ではそういうの関係なくない…?いや、仲良くなったなら別にいいけどあんたまだ入社1ヶ月だからね…?


すかさず秋山さんが「森、田村は先輩なんだから会社では敬語使いなさい」と注意していた。森君は「うっす」と答えていた。やめろ。


時は流れ秋が過ぎた頃、森君は相変わらず仕事も敬語も出来なかった。基本的に何かしらやらかし、やべ〜〜とニヤニヤしていた。どれだけ教えてもらっても怒られても変わらなかったので逆にすごいと思った。

彼の同期達はそこそこ広い営業エリアを持たされていたが、森君は1つのエリアの担当と未だ先輩の同行をしていた。


ある日仕事を終え帰る準備をしていると、窓の外から声が聞こえてきた。

外を見ると仕事終わりの秋山さんと中村さんが営業車を洗車していた。

そして肌寒い中ホースで水を掛け合ってはしゃいでいた。


めちゃくちゃ楽しそう。でもこのままだとうるさいと主任に怒られそうなので、事務所まで声聞こえちゃってますよ、あと私も混ぜてください。と言うため外に出た。


3人で水を掛け合う事で声は3倍になった。

ホースの口を指でいい感じに塞ぎスプリンクラー作戦で私が先輩2人に水をかけていると突然後ろから声をかけられた。


「ちょっと〜〜〜中村さ〜〜〜ん」


森君だ。営業から戻ってきた森君がやれやれみたいな顔をして立っていた。

何時に戻ってきてんの…みんなもう帰ろうとしてるけど…


森君はつかつかと中村さんに近寄り、

「中村さんが取ってきた見積もり、これ全然ダメじゃないっすか〜〜。今日現場見てきたんすけど、あの広さじゃ絶対作業員の人数足りないし半日作業とか全然無理っすよ〜。」


私は固まった。

多分この子は中村さんが取ってきた大きめの案件を、何事も経験だから!と好意で森君と一緒に進めているあの案件の見積もりの事を言っている。


「俺研修で現場やってたんで分かるんすけど、あれじゃ無理っすよ。もっと作業する人間の事考えてもらわないと中村さんの取ってきた仕事誰もやりたがらないっすよ?本当中村さんは現場の事分かってないっすよね〜〜。」


終わった。森君は終わった。何故なら今から私がブチギレるからだ。


「森ぃぃいいー!!!!お前誰に口聞いてんだよ!!!!!!!」


私と中村さんはビクッとなった。

そう、秋山さんがブチギレたのである。


秋山さんは森君の真後ろに止まっていた営業車を拳で叩き、森君の逃げ場を無くした。

後の壁ドンである。


「中村さんは現場経験が1番長いんだよ!!お前みたいなペーペーがどの口で中村さんの見積もりに文句つけてんだ!?あぁ!?中村さんの案件は現場の人間も信頼してんだよ!!!!お前は何を知ってんだよ!!!」


クールビューティーが鬼と化した。姉さんめちゃくちゃ怖い。しかし秋山さんの言っている事は最もなのである。

中村さんは現場経験が長く、現場と営業の双方の気持ちが分かるため、現場で働く人間からの信頼も厚い。そして見積もりも勿論完璧なのだ。


さっきまでヘラヘラしていた森君の顔がこの世の終わりみたいな顔をしている。

そこで私と共に固まっていた中村さんが「ま、まぁ、ね、分かったから。一旦見積書見直すからとりあえず森君事務所戻って。」と口を開いた。


森君は「はい…すみません…」と足早に事務所に入って言った。


そして中村さんは「中村さん!!何で自分で言わないの!!あんなのにナメられたら終わりだよ!!」と秋山さんに叱られていた。


その後私も事務所に戻って見積書を見てみたが完璧だった。むしろ何故森君がこの見積もりに文句をつけようと思ったのかマジで分からなかった。


主任に「秋山の怒号が聞こえたけど何かあったの?」と聞かれたので「森君の事です。」と答えると「あぁ。」と納得していた。


その数ヶ月後、私はその会社を退職した。辞めることは前から考えていたし、秋山さんと中村さんには相談していたがいざ辞めるとなると2人がめちゃくちゃ寂しがってくれてちょっと嬉しかった。


私も2人と離れるのは寂しかったが、会社の体制がボロボロだったので2人も1年しないうちにその会社を辞めた。


今でも秋山さんと中村さんとは時々ごはんに行くのでこの話は毎回話題にあがり、笑い話になっている。森君はトラウマになっていないか心配だ。彼は今何をしてるのかな。「うっす」って目上の人に言ってないかな。


そんな森君は私の送別会でも色々やらかしてくれたし、秋山さんはクールビューティーな逸話がまだまだあるのでその話はまた今度。

心霊スポットに行った話。

夏といえば怪談。怪談といえば夏。


私は幽霊も宇宙人も信じているし、どちらもめっちゃ怖い。絶対に居る!ここには霊が!宇宙人が!という事ではなく、単純にヤバい場所にはヤバいモノが居るだろう。という考えである。


ついでに言えば妖精には居て欲しいし、妖怪にはロマンを感じる。

うちのトイレは気付けば髪の毛が結構な量で落ちて居るんだけど、妖怪の仕業としか考えられない。何でトイレで髪の毛抜けるんだろ。妖怪でしょ?妖怪しかなくない?


書いてて思ったけどこれ私の髪の毛じゃなくて女の人の幽霊がいるシグナルだったらどうしよう。めっちゃ怖い。

そうなると私は自分の髪じゃない毛をいつも無心でコロコロしてたって事?何で私が他人の髪の毛コロコロせないかんのだ!!


まぁそれは良いんだけど、実家に居た頃は怪談好きの父とよくTVの心霊特集を観ていた。

父はTVを観るたびに、心霊スポットなんて遊びで行ったら絶対ダメだよ。と言っていた。勿論私はそんな怖い所に自ら行くつもりはさらさら無いし、遊びで行って祟られてもそれはその人間の方が悪いだろうと思っていた。触らぬ神に祟りなし、だ。


そんなビビりな人間なので、一人暮らしを始めてからは一切そういった番組を観なくなった。

観ないようにしてる事は父にも伝えているのに、未だに怖い番組があると「今日は○時に、戦慄!本当にあった○○!あなたは今日本当の恐怖を目の当たりにする!があります。観るように。」とメールが来る。

「観ません。」と毎回返すのに絶対告知してくる。父は確実にパケ代を無駄にしている。


そんなビビりな私が大学1年生の夏を迎えた頃。

一人暮らしにも慣れてきて友達も出来て大学生最強と思っていたどうしようもない時期に、近所に住んでいるサークルのA先輩から電話がかかってきた。確か夜20時頃。


「今からカブトムシを捕りに行こう」


オッケー全然行きたくない。幽霊めっちゃ怖いとか言ってるけど私はこの世で1番虫が怖い。足が4本以上あるとかマジ無理。見た目も無理。飛ぶな。


よくよく聞くと、先輩A♂B♂C♀の3人で遊んでいて、これからカブトムシを捕りに行こうという話になった、という事だった。

よくよく聞いても何故大学生が唐突にカブトムシを捕りに行こうという結論に至るのかが理解出来なかった。わかんなくない?


でもその先輩達はいつもよく遊んでくれるし、仲も良かったので、単純に夜みんなで遊びに出るとか大学生っぽい!★という理由で行く事にした。

というかその電話はうちの家の前からかけていたので選択肢は「行く」しかなかった。


家の下に止まっていたC先輩の車に乗り込んで、まずはコンビニに向かった。

夜暗いと見えないから、と先輩達は懐中電灯をカゴに入れた。察しが良い人はこの辺で気付くんだろうけど、私は「虫カゴ売ってないよ!?ビニール袋でいいかな!?」と真剣にカブトムシと向き合っていた。


A先輩の「俺が素手で持って帰るから大丈夫。」という言葉を鵜呑みにし、カゴに入っていたお線香については「カブトムシは線香の匂いに寄ってくる」という言葉に納得した。納得するなよ私…


ともあれ車内にケツメイシ流しちゃったりして、盛り上がる車内。何故か私がカブトムシについて触れると全てスルーされた。


しばらくして車が止まった。

ん??????なんだここ????

私はようやくカブトムシを捕りに来たんじゃないかも。と思った。遅ぇ〜〜〜


先輩達は私が心霊スポットには絶対行かないという事を知っていたので嘘をついて連れて来たのだ。

カブトムシ捕りに行くよって言えば来ると思われてる私って一体…


私は激しく後悔していた。

お父さんごめんなさい…!!娘はお父さんとの約束を破ってしまいました…!!


後々聞くとそこは有名な心霊スポットらしい。

夏の有名な心霊スポット。そこには私達みたいなグループが4〜5組居て、わいわいキャーキャーしていたので全然風情は無かった。


前のグループの少し後を付いて行く、というお化け屋敷の中みたいな状態だったが、ここが1番ヤバいというスポットまで歩いた。


ちなみにそこに着くまで私は騙されて心霊スポットに連れて来られた怨み辛みを半泣きでぐちぐちと先輩達にぶつけていたが、笑顔でスルーされた。スルースキルすごい。


そのヤバい場所にはフェンスが貼られていたが、どこぞのバチ当たりが余裕でぶち破っており、中に入れる状態だった。

流石にここは入っちゃダメでしょ!幽霊うんぬんより、入っちゃダメだからフェンス貼ってあるんだよ!!人としてダメでしょ!!


そんな訴えを無視し先輩A.Bはスタスタとフェンスに近付いた。

ダメだ!!ここに入ったら絶対先輩達が祟られてしまう!!そんなの嫌だ!!

私は咄嗟に追いかけ2人の腕を掴んで「お願いだからもうやめて!!」と懇願した。


ちなみにこの時私はフェンスに近付きたくなくてめちゃくちゃ腰が引けていた。

突然の大きな声に周りの人達も振り返るし、めちゃくちゃ腰引けてる私がいるし、多分その状況が恥ずかしくて先輩達はとりあえずフェンスから離れてくれた。


私が「もう大学生なんて嫌だ、実家に帰りたい」と言い出したので、これ以上はやめようと車に戻る事になった。どんだけ嫌だったんだよ。


帰りの車内、テンションだだ下がりの私とは裏腹に、先輩達はわいわい盛り上がっていたのでだんだん腹がたってきた。

てかマジビビりすぎwwwと笑われた所で私はたまらず言い放った。


「いや、別にいいけどさ、A先輩の右肩に女の人付いてるからね。」


車内がシーンとなり、先輩達に、「え…マジ??視えるの?」と神妙な顔で聞かれた。

「うん。視えるよ。だから私心霊スポットとか行かないようにしてるんだよ。」と適当に答えた。


騙された上にビビってた事をイジられて私はもう怒っちゃったのである。

さっきまで先輩達が祟られちゃう!!と腰が引けてまで止めに行ったあの純粋な私はどこにも居ない。怒っちゃってるから。

ただ適当な嘘をついてショボい仕返しをしている私しか居ない。


そこでA先輩がポツリと呟いた。

「やっぱり…?俺、あのフェンスに近付いた時女の人の囁く声が耳元で聞こえたんだよね…」


ダウト〜〜〜!!!!!もしくは気のせい〜〜!!!


A先輩は次の日になっても、右耳が何かおかしい、時々女の人の声が聞こえる。など言っていた。100%気のせいである。

彼はその話を何年も周りに語り続けていたので、私全然霊感ないよッ★って事は伝えないままにしておいた。

(A先輩、今は立派なお父さんになってます)


心霊スポットに行ったのはこれが最初で最後。もしかしたらA先輩には本当に声が聞こえたのかもしれないけど、多分聞こえてない。


因みにコンビニで謎に買った線香は、サークルのビンゴ大会の景品として使われていた。マジいらない。

引越しの話。

2度ほど引越しをした事がある。

これは2度目の引越しの時の話。


引越しは荷物まとめたり住所変更したり転居届け出したり電気ガス水道等連絡したりめちゃくちゃ面倒臭い。

多分人生TOP3に入る面倒臭さ。


だいたい人1人が住んでる家の荷物を段ボール20箱にまとめるって何事?無理じゃない?

全然箱足りないし、どれだけ時間があっても荷物まとまらないし、卒論をラスト2週間で完徹して提出した私が余裕持った行動なんて出来なくない?絶対出来なくない?

よく卒業出来たなって今でも思う。


そんなド面倒臭い引越しだけど、唯一わくわくするのは家探しである。


であるとか言っちゃったけど、あくまで個人的には。

間取りを見るのが楽しいんだ。周りの環境とか駅までの道とかも想像膨らむし、新しい家具とか買ってここに置いて〜とか考えるのも楽しい。


バストイレ別とかオートロックとか家賃とか条件検索かけてどんどん候補が無くなっていって、無い!!!!条件ピッタシ無い!!!って夜中まで検索して結果面倒臭くなる。

結果ね、結果面倒臭いんだけどね。


この引越しの時、私は絶対この街に住む!と決めている街があった。昔からいつか住みたかった憧れの街。少し条件がズレたとしてもその信念は揺るがなかった。


街が決まっていれば後はひたすらネットで調べるだけなので、割とすぐにここ!!めっちゃ良い!!という物件を見つけた。


すぐにその物件を取り扱っている不動産屋さんに電話をした。

仕事終わりに電話をしたので、あちらも営業終了間際だったらしく、まだ入居可能か調べてからすぐ折り返しますとの事だった。


その日電話が鳴る事は無かった。


でたよ〜〜〜多いよ〜〜私、折り返しますって言われて忘れられる事すんごい多いよ〜〜忘れないで〜〜〜〜


まぁ仕方ない、明日また電話してみようと諦めた。


次の日のお昼にこちらから電話をかけた。

昨日電話に出た担当者が席を外しているので、また折り返します。との事だった。


ほんとに????ねぇほんとに電話くれる????絶対だね???ね???


って思ったけど、言えなかった。チキンハートだから。

仕事中は携帯見れないから、留守電に残して貰えれば夕方こちらからまたかけます!と、とりあえず電話を切った。


しゃかりきに働き、いつもより少し早く仕事を終わらせてドキドキしながら携帯を確認した。


着信ねぇ〜〜〜〜全然ねぇ〜〜〜誰からも着信ねぇ〜〜〜〜アンハッピーぃぃ〜〜〜


この時私はちょっと怒っていた。怒りで手が震えていたので、もしかしたらめちゃくちゃ怒っていたかもしれない。


もう1度電話をかけると、明らかに「あっ」みたいな反応をされた。

「あっ」じゃないから!!!!雰囲気で伝わる「あっ」を出すな!!!しまえ!!!


そこでまた担当者からすぐに折り返しさせます!!と言われたので、ほんとに??ねぇほんとに??2回目だよ???私ちょっと怒ってるよ??という旨を怒りに震えた声で丁寧に伝えた。

怒りに震えた声だったのでやっぱり私めちゃくちゃ怒ってたわ。



かかってこなかった。



いや、正確に言えば4時間後の夜21時にかかってきた。回答は「もうその物件は入居者が決まりました」だった。


おっけーーーー!!!!!!とりあえずさ、どう転んだら4時間後になるの??時差??時差なの??社員同士で意思疎通してる??社会人に大事なのはほうれんそうだよ???ほうれんそうしてる???しっかりほうれんそうしてる??ん???


もう決まったものは仕方ない。全然仕方なくないけど仕方ない。泣きそう。


「分かりました…もういいです。お疲れ様でした。」と返した。「お疲れ様でした。」は、チキンハートの私が振り絞って出した嫌味だった。ショボい。


担当者「あ、でも他にもオススメの物件は沢山あるので紹介します!1度当社にいらして下さい!」


メンタル強ぇ〜〜〜〜!!!大事!営業にそのメンタルは大事だよね!!おけおけ!絶対行かない!!!キレそう!!


この一連の流れにはかなりイライラしたけど、その街にはまだ沢山家はあるし他のとこで探そ探そ!と切り替えた。

こういう時はポジティブに産んでくれた両親に感謝しかない。


結局その週末に違う不動産屋さんに直接出向き、普通に良い物件を紹介して頂いたので即決した。

何だったのあの無駄に震えた2日間。


今思えばおとり物件という物だったのかな。

真相は分からないけど、好きな街に住めてるからいいか。


思い出したら相当イライラしたけど良しとする。

ハワイで迷子になった話。

私はハワイが大好きだ。


と、言うと物凄くハワイ通で毎年行っててハワイアンジュエリーの事をハワジュとか言っちゃったりする人間に聞こえるかもしれないけど、そういう事では決して無い。


ハワイに行ったのは人生で5回。その内ちゃんと大人になって行ったのは2回。最後に行ったのは3年ほど前だ。

ハワイ行きたいよ〜〜〜っていつも言ってるけど行きたいから行ける距離じゃないし、そんなお金はどこを探しても無いのである。

単純につらい。大人ってハワイに簡単に行ける人の事じゃないの?は?


その程度ではあるけどやっぱりハワイは大好きで、ワイキキ周辺ならなんとなーくそれなりに余裕ぶっこいて歩いちゃうよ?って感じなのである。とにかくそんな感じなのである。


しかしその謎の余裕のせいで迷子になった話。


3年前のハワイ旅行、確か帰国の前日。

私は一緒に行った仲間と離れ1人で行動していた。

お土産調達にラストスパートをかけていた。


ワイキキ周辺のお土産屋さんをせかせかと周り、親戚の子供用のムームー(ハワイのワンピース)を血眼になって探していた。


勿論英語なんて話せないし、ドルやセントについてもよく分かってないので、買い物する度にレジに居る恰幅のいいおばちゃんの前で有り金を広げ、「必要な分取って!」とジェスチャーで伝える賢めなチンパンジーみたいな戦法を取っていた。

ボラれてても文句は言えない。いいの。英語分かんないから。


ちなみにこの戦法は、うちの職場によく来るおばあちゃんが「小銭よく見えないから取って!」とお会計時に毎回やっているのを見てパクりました。


そんな事をしながらふと辺りを見渡すと、

え??????なに????ここどこ????

ってなった。


突然。本当にそれはもう突然。さっきまでメチャクチャ居たはずの日本人が全然居ない。

海めっちゃ綺麗。でもびっくりするくらいここどこ。


恋人も居ないのに調子に乗ってイヤホンでKREVAのイッサイガッサイ縦揺れで聴いてたからだろうか。

自分が思ってたよりだいぶ歩いてしまっていた。


私は瞬間で涙目になった。お母さんの顔が浮かんだ。

ちなみにうちの母はお菓子のラングドシャの事をラングド社という車かなんかの会社だと思っていた天然おちゃめマザーである。可愛い。


日本人を見つけよう。

本能がそう叫び辺りを見渡すもマジで全然日本人居ない。


それどころか肩に蝶々だかお花だかのタトゥーが入った現地のお姉さんがタバコ吸ってる。

え?ハワイって路上喫煙ダメだよね?外での飲酒もだめじゃなかったっけ?

そんなバチバチ地元の人間感出てるファンキーなお姉さんが目に入った事でさらにパニックになった。


今思えば少し遠くまで歩いて路地に入っちゃったくらいで、そこが天下の観光地ワイキキである事には間違い無いし、

落ち着いて道を辿ればきっと日本人ワンサカな場所に戻れたんだろうけど、人間パニックなったらそんな思考回路はショートする。

思考回路はショート寸前っていうかバキバキにショートしてた。


子供だったら泣いちゃえば良いんだけど、大人になると地味なプライドが邪魔して泣き出すまでは出来ない。(涙目だけどね)

だからといってもう動く事も出来ず私はそこで呆然としていた。

2〜3歩うろうろ動いて元居た位置に戻るという奇行を繰り返していた。


可哀想すぎない?

思い出したら不安になって涙出てきた。


ほら、なんか地元のいかついお兄さん出てきたしみんなこっち見てる!!!!(見てない)

見ないでよ!!!迷ってなんかないんだから!!!!(大人のプライド)


ポケットWi-Fi今持ってないからグーグルアース開けない。もうダメだ。聞くしかない。あのタトゥーのお姉さんに聞くしかない。


私は頭の中でニューホライズンを取り出した。あったはず。道を聞くレッスンがあったはず。


………OK。男の子がKenって事しか思い出せない。全然ワカンネ。余裕で詰んだ。


私は割と本気で、もうここから帰れないのかもなと腹を括った。

大好きなハワイだし、海も近いし、その内ネイティヴに英語話せるようになれるなら一石二鳥じゃない?と唯一の取り柄であるポジティブが顔を覗かせ始めていた。

色々とバカすぎる。


「ね!そろそろ一旦ホテル戻ろうよ!」


日本語おおおおおおおおお!!!!!!


たまたま。本当にたまたま日本人の女性2人組みがひょっこり曲がり角から現れた。


日本帰りたいよおおおお!!!!日本が1番だよおおお!!!!なめろうと日本酒で一杯やりたいよおおおおお!!!!


さっきまでハワイで暮らす決意を固め始めていたのにもう日本に帰れる嬉しさで満ち溢れていた。

その後はその女性2人組の後ろにピッタリと付いて歩いた。帰れるのが嬉しくて私はニヤニヤしてた。

救いの女神達には3度ほど「何この人」という顔で振り返って警戒された。ごめんなさい。


15分程歩くと中心地へ戻れた。マジで私どこに居たんだろ。

中心地に出た途端、別に私迷ってたわけじゃ無いですって顔して女神達から離れた。

仲間と合流した後も恥ずかしくて迷った事は言わなかった。

大人のプライドって本当にいらんですわ…


ハワイに行った事がある人と出会うとこの話をしてみるのだけれど、どこでどう迷っていたのか分からないと言われる。

勿論私も未だ分からない。


なんかもう時空の歪みにハマったという事で片付けている。という事はあの女神達は時空のおっさんという事になる。最高かよ。


私はやっぱりハワイが大好きだ。

おはよう世界

アラサーになる。

いや、もう充分アラサーにはなってるんだけどいよいよ感が凄い。


正直言ってアラサーになるのにここ10年中身も生活もさほど変わってないので危機感のようなものは薄いかもしれない。


いや、感じてるよ?全然感じてるけどね?


地元の友達は8割方家庭を持ち立派な大人になっている。

SNSがその幸せそうな様子で埋め尽くされてる時なんてもう

うわああああ!!!キエエエエェ!!!

ってなる。全然なる。


でも今住んでいる東京の友人達はびっくりするくらい誰も結婚してないのでそのぬるま湯にどっぷりとつかり、

お酒っておいしいねッ☆ってな日々を過ごしている。



この前父親に「父の日のプレゼント何がいい?」って電話したら「孫。」って言われたのはさすがにグッときたよ。さすがに。


それでも薄めの危機感と結婚いいなあああという憧れを胸に、大して深く考えず生きているわけだけど、


最近、あらゆる思い出がパッと出てこない事に気付いた。


人に言われると、あーハイハイありましたありましたねってなるんだけど、言われなかったら一生思い出さないんじゃないかなと思ったわけです。


やだ!!!さみしい!!そんなの!!


という訳で備忘録として無理矢理思い出したいろんな事を書き留めようかなと思いブログを始めた次第です。

これブログって言うのかな。


正直これ書くまで父親に「孫。」って言われた事も忘れてました。

トーチャンマジごめん。